
「家賃を払い続けるのはもったいないって親に言われた…」

「そろそろ30代だし、マイホームを買って一国一城の主になりたい」

「でも、転勤もあるし、35年ローンを背負うのは怖い…」
その気持ち、痛いほどわかります。
でもちょっと待ってください。
薬剤師特有の「あの制度」を捨ててまで家を買うと、生涯で2,000万円以上損するかもしれませんよ?

こんにちは!FP薬剤師のいるかです。
永遠のテーマである「賃貸 vs 持ち家」論争。
一般的には「価値観による」と言われますが、薬剤師(特に大手チェーン勤務)に限って言えば、ファイナンシャル的には「賃貸」が圧倒的な正解であることが多いです。
なぜなら、薬剤師には「借り上げ社宅(家賃補助)」という、税制優遇最強の福利厚生が使えるからです。
今回は、感情論抜きで「数字」だけで、薬剤師が家を買うべきか、借り続けるべきかを判定します。
薬剤師は「家賃補助」がある限り、家を買ってはいけない
まずは結論から言います。
以下のチェックリストに当てはまる人は、今、家を買うとFP的には不正解と言わざるを得ません。
ポイント
- 現在、会社から*家賃補助(借り上げ社宅)」が出ている
- 今の会社で、今後もキャリアアップしていきたい(転勤の可能性がある)
- 将来、転職して年収を上げたいと考えている
- まだ資産形成の初期段階(資産1,000万円以下)
FPとして言わせてもらうと「家賃補助」をもらえる期間は、意地でも賃貸のまま粘るべきです。
その理由を具体的な数字を用いて説明していきます。
数字で証明!「家賃補助」の破壊力
「持ち家なら資産になるけど、家賃は掛け捨てでしょ?」
持ち家賃貸論争でよく言われるこの常套句は、特に家賃補助が出る場合まったくもって通用しません。
例として、「家賃10万円」相当の家に住むケースと、3850万円で持ち家を購入して金利0.5%/35年ローン(月返済10万円)で比較してみます。
大手チェーン薬局の一般的な「借り上げ社宅制度(自己負担2割)」を想定してみましょう。
| 項目 | A:持ち家(ローン) | B:賃貸(家賃補助あり) |
| 月々の住居費 | 10万円(返済) | 2万円(自己負担) |
| 固定資産税・修繕費 | 月2〜3万円 | 0円 |
| 実質の年間支出 | 約150万円 | 約24万円 |
| 10年間の支出 | 1,500万円 | 240万円 |
その差、10年間で約1,260万円!
「いやいや、持ち家は自分のものになるじゃん」と思いますよね?
その通り、持ち家は自己の所有物のためトイレや風呂が壊れようとすべて身銭を切って修理をしてもらう必要があります。
分譲マンションでは積立修繕費や管理費も必要であり、持ち家であっても外壁改修などのためにいずれにせよ修繕費の積立をする必要があります。賃貸ではあくまで借りているものであるため、こちらの過失でない限りは大家さんが修理してくれます。日本では借りてる側はかなり手厚く守られています。
そして35年後、ローンを完済して完全に自分のものになった持ち家。東京の一等地にある高級マンションなどであれば価値が上がっている可能性がありますが、基本的には築35年の家の価値は高くないことは想像に難くないでしょう。
35年後に残る家の価値と、「浮いたお金(年126万円)を年利5%で運用した結果」を比べると、後者の方が圧倒的に資産が増えるのです。
税金面でも「賃貸(借り上げ)」が最強
さらに恐ろしいのが「税金」の話です。
- 住宅ローン: 税金や社会保険料を引かれた後の「手取り」から支払う。
- 借り上げ社宅: 給料から自己負担分が天引きされ、そのぶん額面の収入が減ることによって税金が減る。
借上げ社宅は賃貸のお金を大部分払ってもらっているにも関わらず、税金が減るという夢のような制度なのです。
もちろん住宅ローン控除などもあるので、税制面でいえば多少は持ち家においても有利な面はありますが、それでもマックス30万円程度です。
つまり、家賃補助を捨てて家を買うということは、
「実質年収を150万円ダウンさせて、さらに税金も増やす」のと同じ意味を持つのです。
薬剤師が持ち家を持つ「3つのキャリアリスク」
お金以外にも、薬剤師特有の「働き方」のリスクがあります。
[step1] フットワーク(転職)が重くなる
薬剤師の最大の武器は「資格があればどこでも働けること」です。
しかし、家を買うと場所が固定されます。「隣の県の薬局なら年収+100万」というオファーがあっても、通勤できずに断念することになります。
[step2] 大手チェーンでの出世コースが閉ざされる
多くの大手チェーンでは、「全国転勤可(ナショナル職)」と「地域限定職(エリア職)」で年収が大きく違います。
家を買うと実質的に「地域限定職」にならざるを得ず、給与テーブルが下がったり、手当がカットされたりします。
35年ローン vs 医療業界の変化
35年後、今の調剤報酬制度が続いている保証はありません。
「薬剤師ならローンなんて余裕」と思っていると、10年後の報酬改定でボーナスカット…となった時に、重いローンがのしかかります。賃貸なら、家賃の安い家に引っ越せば済む話です。
それでも「家を買う」のが正解なタイミングとは?
ここまで「買うな」と言ってきましたが、FPとしても「買うのが正解」なパターンが2つだけあります。
家を買っても問題ないパターン
1. 永住する覚悟で「独立」する場合
地元の薬局に骨を埋める、あるいは自分で独立開局する場合。
この場合は転勤がないため、店舗兼住宅などを検討するのはアリです。
2. 資産形成が終わった後の「浪費」として買う
ここが重要です。家は「投資」ではなく「消費(浪費)」と割り切って買うならOKです。
「子供のために広い庭が欲しい」「どうしてもこだわりのキッチンにしたい」。
これは「幸福」のための支出です。

すでに資産運用で十分な土台ができていて、「家賃補助がなくなっても生活レベルが変わらない」状態なら、GOサインです。
まとめ:そのハンコ、押す前に確認!
結論です。
ポイント
- 家賃補助があるうちは、意地でも「賃貸」に住み続けろ。
- 浮いたお金は散財せず、全額「新NISA」に回せ。
- 家を買うのは、キャリアの最終地点が見えてからで遅くない。
一番危険なのは、
「周りが買ってるから」「なんとなく家賃がもったいないから」
という理由で、3,000万〜5,000万の借金を背負うことです。
あなたは損してない?
「もし今、家を買ったら、65歳時点の資産はどうなる?」
「家賃補助をもらい続けた場合と、どっちが得?」
これを計算せずにモデルルームに行くのは、目隠しして運転するようなものです。
いるかが実際に資産計画に使っている簡易的な「薬剤師専用・資産形成シミュレーター(グーグルスプレッドシート版)」を、公式LINE限定で無料配布しています。
これは転職時期やそれによって上がる年収を入力すればどれほど差がつくのか、一目でわかるツールですが家賃補助を用いて浮くおかね126万円を仮に年収アップ額として入力してみればざっくりとどれだけの資産差がつくのかもシミュレーションを行うことができます。
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これからも有益な情報をどんどん発信していきます。 どうぞ、末長くよろしくお願いいたします!
FP薬剤師 いるか